B型肝炎給付金訴訟とは、過去に国が実施した集団予防接種によってB型肝炎に感染した方が起こせる訴訟です。裁判上での和解により、給付金の受け取りが可能となります。B型肝炎訴訟を行うには、所定の手順による手続きが必要です。
本記事では、B型肝炎の訴訟の手順や必要な書類・資料について詳しく解説します。
B型肝炎給付金訴訟とは、過去に国が実施した集団予防接種によってB型肝炎に感染した方が起こせる訴訟です。裁判上での和解により、給付金の受け取りが可能となります。B型肝炎訴訟を行うには、所定の手順による手続きが必要です。
本記事では、B型肝炎の訴訟の手順や必要な書類・資料について詳しく解説します。
B型肝炎訴訟とは、満7歳までに集団予防接種(またはツベルクリン反応検査)を受けたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方が、国に損害賠償を求めるために行う裁判のことです。
B型肝炎は感染者の血液や体液などから感染しますが、過去の集団予防接種では注射器の回し打ちが行われており、当時の予報接種を受けた子どもの間で感染が拡大しました。
このような事態を予測できたにもかかわらず、国は注射器の回し打ちを止める指導を実施せず、国の過失が問われ賠償責任が確定しました。
国が定めた期間に集団予防接種を受けてB型肝炎に持続感染された方は、50万円~3,600万円の給付金が受け取れる可能性があります。ただし、国が定める条件にすべて当てはまることが必須のため、証明する資料の提出などが必須です。
B型肝炎給付金には請求期限があり、期限までに提訴をしなければ請求権を失ってしまいます。給付金の請求期限は令和9年3月31日までです。
令和3年に特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律が成立し、令和9年3月31日まで期間が延長されることが国会で決定されました。
期間が延長された理由としては、B型肝炎訴訟の対象となる人の総数に比べて、提訴した人、和解した人が少ないためです。令和3年1月時点で提訴した人は、給付対象者全体の20%にも満たないとされています。
請求期限とは、提訴を行う期限です。そのため、期限までに訴訟提起をしておく必要があります。提訴までの準備にある程度の時間がかかることを考慮し、できる限り早く訴訟の準備に着手することが大切です。
B型肝炎訴訟の手続きの流れを解説します。
B型肝炎訴訟を行う場合、まずは必要書類を集める必要があります。必要書類は、一次感染者か二次感染者かによって異なります。
大きく分けて、
● 病院に申請するもの
● 役所に申請するもの
● 自分で作成するもの
があり、必要書類や資料に不備があった場合は、再び収集が必要になるなどの手間がかかることも考えられます。
弁護士に依頼すれば、本人でなければ取得できない書類や資料以外の取得は一任できるので、時間や手間の節約になります。
ウカイ&パートナーズ法律事務所ではB型肝炎給付金訴訟の手続きを代理人弁護士として進めていきます。ぜひお任せください。
一次感染者によるB型肝炎訴訟で必要な証拠資料は以下のとおりです。
6ヵ月以上の間隔をあけた2回分の検査結果 |
HBc抗体陽性であることを示す検査結果 |
以上2つのどちらかがあれば、持続感染である証拠となります。
2回の検査結果はHBs抗原陽性・HBV-DNA陽性・HBe抗原陽性のいずれかに当てはまる必要があります。
B型肝炎給付金は持続感染でなければ支給対象者にはなりません。血液検査で6ヵ月以上、感染が確認されると持続感染と認められます。
また、HBC検査であれば一回の検査結果で持続感染が認められる場合があります。
母子手帳 |
予防接種台帳 |
この2つのどちらかが証拠資料として必要になりますが、いずれの資料も用意できない場合は以下の3つの提出が必要になります。
どちらの資料も提出できない事情を説明した陳述書 |
接種痕が確認できるなど、医師の意見書 |
住民票または戸籍の附票 |
母子手帳または予防接種台帳 |
昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに出生していることが確認できる資料 |
上記2つのうちどちらかが必要です。
①母親のHBs抗原が陰性 かつ HBc抗体が陰性(または低⼒価陽性)の検査結果※母親が死亡している場合は、母親が80歳未満の時点のHBs抗原陰性の検査結果のみで可。80歳以上の時点の検査の場合は、HBs抗原の陰性化(持続感染しているが、ウイルス量が減少して検出されなくなること)が無視できない程度に発生することが知られているため、HBc抗体も併せて確認することが必要です。 |
② 年長の兄弟のうち一人でも持続感染者でない者がいること(母親が死亡している場合に限る) |
③ その他、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められる場合には、母子感染でないことを推認します。〈例〉原告が双子の兄であり、母親は死亡しているが、双子の弟が未感染である場合 |
母子感染でないことを示す資料が用意できない場合であっても、母子感染でないことが認められる場合もあります。
① カルテ等の医療記録 ※ 集団予防接種等とは異なる原因が存在する疑いがないことを確認するために必要 |
② 父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合→父親と原告のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果 ※ 父親からの感染でないことを証明するために必要 |
③ 原告のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではないことを証明する検査結果 ※ 平成7年以前に持続感染が判明(初診)した場合には不要 ※ ジェノタイプ検査は、成人期の感染ではないことを証明するために必要 |
二次感染者によるB型肝炎訴訟で必要な証拠資料は以下のとおりです。
母親が一次感染者であることを示すため、一次感染者のB型訴訟に必要な証拠資料を用意しなければなりません。
6ヵ月以上の間隔をあけた2回分の検査結果 |
HBc抗体陽性であることを示す資料 |
2回の検査結果はHBs抗原陽性・HBV-DNA陽性・HBe抗原陽性のいずれかに当てはまる必要があります。
この2つのどちらかがあれば、持続感染である証拠となります。
二次感染者が出生直後にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料 |
二次感染者と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した検査結果 |
どちらかの資料が必要です。
いずれの資料も入手不可能である場合は、以下の条件をすべて満たす必要があります。
必要書類の収集後は、裁判所に提出する訴状を作成します。証拠となる資料は証拠番号や、ページ番号を記載して整理し、提出しなければいけません。
提訴する裁判所は、地方裁判所から選択するのが基本ですが、140万円を超えない請求額の場合は簡易裁判所も選択できます。収入印紙を貼った訴状と書類一式を裁判所に提出し、国を被告として国家賠償請求訴訟を提起します。
国との間で和解協議を行います。証拠資料を提出し、裁判所が指定した日程に出廷しなければなりません。この日程は原則変更はできません。
国が証拠資料や必要書類を確認した後、不足している資料や書類があれば再収集が必要です。その後、さらに調査が必要になった場合は、追加資料の提出を求められる可能性もあります。その場合も再び資料や書類を収集し、再提出が必要です。
救済要件を満たしていると各種書類で確認ができれば、和解が成立します。和解とは、裁判上での和解を指します。つまり、裁判を通して賠償金額の合意を得ることです。国との和解が成立すれば、裁判所が和解調書を作成します。
和解調書は判決と同じ効力を発揮するため、和解調書の内容を必ず遂行しなければなりません。そのため、和解の内容を変更するための争いはできなくなります。
和解調書に住民票などの必要書類を添付し、社会保険診療報酬支払基金に給付金の請求を行います。社会保険診療報酬支払基金とは、国からB型肝炎給付金の支払い事務を委託されている機関です。
請求から1ヵ月半程度で給付金を受け取れます。
B型肝炎訴訟の手続きを弁護士に依頼した場合、相談料、着手金、成功報酬などの費用が必要です。金額は弁護士事務所によって異なりますが、それぞれの相場を紹介します。また、弁護士費用とは別に検査費用や書類取得費用などの実費もかかります。
ウカイ&パートナーズ法律事務所は以下の料金体系となっています。
相談料 | 無料 |
着手金 | 無料 |
成功報酬金 | 給付額等の実質10%(税込11%) ※成功報酬については、最低報酬額が16万5000円(税込)となります。 |
※上記成功報酬金とは別に、国から弁護士費用として給付金額の4%を受け取ります
例えば、症状が出ている方は以下のようにお支払い金額が決定します。
受け取れる給付金が1250万円だとすると、その11%(税込)の137万5000円をご負担いただきます。
お客様が受け取れる金額は1112万5000円となります。
症状が出ていない方は以下のようにお支払い金額が決定します。
受け取れる給付金が50万円だとすると、その11%(税込)の16万5000円をご負担いただきます。
お客様が受け取れる金額は33万5000円と裁判において認められた実費になります。