夫婦の一方が離婚に応じない場合には、下記の離婚原因が必要である旨、法律上定められております。すなわち、相手の同意が無くても、以下の場合に当てはまれば離婚が認められる可能性があるのです。
もっとも、特に離婚原因がない場合には、離婚を拒めることになります。ただ、離婚を拒めることと夫婦関係を修復させることは別の話です。配偶者の離婚したい理由に対して、真摯に向き合い、夫婦のわだかまりを解消していくことが必要でしょう。例えば、子供の教育方針のすれ違い、生活費が少ない、生活態度が高圧的であるなど、自分では気付いていない事情があるのであれば、その事情を解消していくことが必要となります。
ウカイ&パートナーズ法律事務所では、離婚したくない方がどのように対応すべきかも含めてご相談に乗り一緒に対応していきます。 ぜひ、ご相談下さい。
婚姻費用の分担請求調停を申し立てましょう。
別居中の夫婦の間で、婚姻生活を維持するために必要な費用(婚姻費用)の分担について話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てることができます。調停手続では、夫婦の資産や収入の状況を聞き、第三者が解決に必要な助言や解決策を提言します。
このように生活費を確保しないと、離婚したくないのに離婚に追いやられることもあります。 まずは、婚姻費用を毎月受領することで生活を安定させ、配偶者と話し合っていける基盤を作りましょう。
離婚届不受理申出書を出しておきましょう。
合意なく勝手に提出された離婚届は、法的には無効になる可能性が高いですが、役所では合意があるとみなされて受理されることが一般的です。離婚届不受理申出書を提出しておけば、相手が合意なく勝手に離婚届をだしても、役所に受理されることはありません。
離婚したくない場合の裁判所での手続きとしては、家庭裁判所の調停手続として夫婦関係調整調停(円満)があります。ただし、調停には法的な拘束力や強制力はなく、あくまでも裁判所を通しての話し合いの場となります。そのため、それでも解決しない場合は弁護士に相談することが必要です。
不倫やDVなど、婚姻関係が破綻する原因を作り出した配偶者を「有責配偶者」といいます。このような婚姻関係を破綻させた有責配偶者からの離婚請求は、原則認められません。あなたが離婚をしたくないのであれば、離婚を拒絶することができる可能性は高いでしょう。
夫婦間の話し合いで離婚の合意ができないと、多くの場合、離婚したい側が離婚調停を申し立ててきます。離婚調停でも離婚の合意ができない場合には、離婚したい側が離婚訴訟を提起することになります。その場合、裁判所は原則として有責配偶者からの離婚請求を認めません。
有責配偶者からの離婚請求を拒絶するためには、相手方が浮気や不倫をした証拠や、DVの証拠を出して、相手方が婚姻関係の破綻する原因を作り出した有責配偶者であると立証する必要があります。これらの証拠の準備がまず第一に必要でしょう。また、裁判官からは、離婚したくない理由も問われます。
例えば、未就学児がいることや、受験を控えた子供がいること、子供がお父さんお母さんに離婚して欲しくないと言っていること、離婚後の生活が立ち行かなくなることなどを明確に主張していく必要があるでしょう。
性別 | 年齢 | 職業 | |
---|---|---|---|
依頼者 | 女性 | 40代 | 会社員 |
相手方 | 男性 | 40代 | 会社員 |
子供:2人(高校生と中学生) |
①相談内容
結婚して20年ぐらい経ち、高校生と中学生の子供が2人います。子供たちは、進学校に通っており、それぞれ大学受験と高校受験を控えています。こんな時期に夫は浮気をして、別居を開始し、しかも、離婚を切り出してきました。子供たちの大学卒業までの学費や生活費を考えると、私一人では到底、払いきれないでしょう。弁護士さん、子供たちの大学卒業まで今の生活を維持するためにはどうしたらいいでしょうか?
②弁護士の対応
まず最初に、我々弁護士と依頼者様との共通認識として、下の子が大学を卒業するまでの7年間は離婚を拒み続けましょうと決めました。夫が不倫をした証拠や、浮気相手の氏名、住所などは判明していたため、まずは、浮気相手に対して内容証明を出すとともに、慰謝料の損害賠償請求の訴訟を提起しました。また、当面の生活費の確保のために、別居した夫に対して、婚姻費用請求の調停申し立てをしました。その中で、自分や子供二人を養ってもらうための生活費の確保や、私立の高校や大学に進学した場合の入学金や学費の支払いを求めました。その上で、夫からの離婚請求は有責配偶者からの離婚請求であるとし、強く拒絶しました。
③離婚問題の解決
まず、浮気相手に対する不貞行為に基づく慰謝料請求に関しては、裁判をすることにより、損害賠償金を確保することができました。これで、弁護士報酬としてかかるコストを十分に回収することができました。また、婚姻費用分担請求に関しては、相手方の年収が高かったので、月額40万近い婚姻費用を確保することができました。そして、私立の高校や大学の学費に関しても、将来の支払いを確約させることができました。さらに、離婚に関しては、数多くの証拠の中から夫が有責配偶者であることを立証し、離婚調停を申し立ててきた夫の離婚請求を拒むことができました。調停では、婚姻費用のみならず、子供との面会交流や依頼者がマイカーを自由に使える取り決めなど、別居期間中の合意事項を調停でまとめることができました。
ご相談をいただいてから7年が経ち、上の子は社会人となり、下の子も大学を無事に卒業することができそうです。ご依頼者様の意向であった、2人の子供が大学を卒業するまで離婚を拒みたい、という目的は達成することができました。
性別 | 年齢 | 職業 | |
---|---|---|---|
依頼者 | 男性 | 30代 | 自営業 |
相手方 | 女性 | 30代 | 専業主婦 |
子供:1人(小学生) |
①相談内容
魔が差して、水商売の女性と何度か浮気をしてしまいました。妻に携帯を見られたため、不倫を理由に妻が子供を連れて出て行ってしまいました。浮気がバレる前は妻とは仲がすごく良かったですし、子供も休みの日には一緒に野球をやったりして本当になついていました。妻も、子供がパパっ子だったことをよく知っています。子供と離れて暮らすのは考えられないので、何とか戻ってきて欲しいと反省しております。LINEでは、妻から「もう会いたくない」、「浮気されたから離婚する」と送られており、話し合いにすら応じてくれません。弁護士さん、どうすればいいですか?
②弁護士の対応
依頼者様は、浮気をし、なおかつ証拠も握られているので、有責配偶者として離婚請求をされる可能性が高いです。この場合には、「不貞行為(浮気)がある場合」に当たり、最終的には離婚判決が出ることとなるでしょう。そのため、今回は調停や裁判などの手続きには乗せず、いかに奥様を説得するかがポイントでした。弁護士として、奥様のもとに行き、膝を突き合わせて依頼者様がどれだけ反省しており、また、家族を愛しているのか丁寧に丁寧に説明しました。ただ単に反省の意を示すことや、上っ面の愛情を語るだけでは、奥様には響かなかったので、仮に奥様が同居を再開するための条件を細かく聞き取り、書面で奥様と子供が戻ってきてくれるための取り決めをしましょうと提案しました。
③離婚問題の解決
上記の通り、依頼者様と奥様、子供が再び一緒に暮らせるように、同居合意書を作成することとしました。その取り決めには、二度と浮気をしないことだけでなく、どうやったら浮気しないかということを定めることにしました。例えば、携帯電話を常に奥様がチェックできるようにすることや、会食に際してどこで誰と会食をするか知らせる義務を負うこと、休みの日には勝手に出かけないことなど、できる限り具体的に条件として盛り込むことをしました。また、奥様は依頼者様の無駄遣いを常日頃から気になっていたようなので、今後、夫婦のお金は、すべて奥様が管理すると定めたり、夫婦の家事分担についても、役割分担を設けました。最終的には、奥様の希望や条件を全て書面に入れ込むことで、夫婦間の同居合意書を作成し、無事に奥様と子供は戻ってきてくれました。
今回のポイントは、単に奥様を説得するだけではなく、「同居合意書」という書面をもって今後の夫婦間の取り決めを明示することで、奥様が抱いていた浮気をされる心配や日常生活での不満を取り除いたことにあるでしょう。