相手の住所地の家庭裁判所で面会交流調停を申し立てましょう。面会交流の実施方法は、可能であれば親同士が話し合って決めるのが一番ですが、相手が不当に拒絶して合意できない場合もあります。そのようなケースでは家庭裁判所に間に入ってもらい、面会交流方法を取り決めることが可能です。
面会交流の調停申立てをしっかり行いたい場合には、弁護士にご相談下さい。
試行的面会交流が良いかもしれません。試行的面会交流とは、家庭裁判所の一室で裁判所調査官の立ち会いの下で面会交流を実施する制度です。試行的面会交流を実現することで、まず、これからの面会交流の第一歩になることが多いです。
試行的面会交流を進めるためには、面会交流調停の申立が必要です。面会交流の実現を図るためにも、弁護士を利用して下さい。
裁判所の履行勧告制度を利用しましょう。履行勧告は、家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して、裁判所から取り決めを守るように履行を勧告する制度です。
この制度は、相手側が正当な理由もなく面会を拒絶している場合にも利用できます。
間接強制の申立てがあります。間接強制とは、債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告した決定をすることで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な履行を促すものです。
面会交流で間接強制が認められるには、面会交流調停や審判において、面会条件につき、具体的に特定されている必要があります。
例えば、①面会交流の日時や引き渡し場所、②面会交流の回数、③面会交流の時間、④子供の引き渡し方法などが特定されている必要があります。
間接強制を通すためには、まさに弁護士が間に入って裁判上の手続きをする必要があるでしょう。
はい、面会交流の拒絶につき慰謝料請求できる場合もあります。 面会交流を理由もなく不当に拒絶されている場合には、子供と会う「面会交流権」を違法に侵害されたとして、慰謝料請求できる場合があります。もっとも、慰謝料請求が認められるためには、ある程度強い違法性が必要です。
それでは、どのような場合に慰謝料が請求できるの?
面会交流調停や審判で面会交流が認められているにもかかわらず、理由もなく長年に渡り、面会交流を拒絶している場合など違法性が強い場合に認められます。
はい、面会交流を拒絶できる場合もあります。
面会交流をすることで、子供の成長に悪影響を及ぼす可能性がある場合には、面会交流の内容を一時的に制限したり、面会交流自体を取り消すことがあります。
例えば、どのような場合に面会交流を拒めるの?
はい。よくある制限方法としては、
があります。
性別 | 年齢 | 職業 | |
---|---|---|---|
依頼者 | 男性 | 40代 | 会社員 |
相手方 | 女性 | 40代 | 会社員 |
子供:2人(高校生、中学生) |
①相談内容
妻が息子2人を連れて突然出て行ってしまいました。そして、妻は私に「子供たちはあなたに会いたくないと言っている」と言い捨てました。息子2人は、小さいころから野球をやっていて、土日の休みの日には、一緒に野球観戦に行ったりキャッチボールをするなどして本当に仲のいい親子だったと思います。別居する直前には、「日本シリーズを観たいからチケットを取ってよ」とせがまれており、野球観戦の約束もしていました。妻が言っていることは絶対に嘘なのですが、息子たちの携帯を勝手に着信拒否したのか、連絡も付けることができません。とにかく息子たちに会いたいので、弁護士さん何とかしてください。
②弁護士の対応
今回は、相手方が頑なに面会交流を拒んでいたので、すぐに裁判所に面会交流の調停申し立てを行いました。相手方が子供と会わせてくれず、「子が嫌がっている。」と言っているが、それが真実でない可能性が高い場合には、試行的面会交流をすべきだと考えました。試行的面会交流は、面会交流調停を申し立てた家庭裁判所の一室において、裁判所調査官の立ち会いの下で面会交流の実現を図るものです。面会交流の様子を観察したり、面会交流が順調に行われるよう働きかけをしたりし、子供を養育していない方の親が一人で子供の世話を出来るか、子供との間に何か問題がないか等を確認するために行われる手続です。
これにより、調査官や調停員の目の前で面会交流をするので、子供らが父親を嫌がっていないことを示すことができます。
③離婚問題の解決
試行的面会交流によって、裁判所に対して、相手方が面会交流を拒む理由などないことを理解させることができました。また、その翌月からは、毎月、暫定的に面会交流を継続する約束を取り付けました。最終的には、調停において相手方を説得することができ、毎月の面会交流のみならず、夏休みなどの長期休暇の際には、宿泊を伴う面会交流も合意として取り付けることができました。
性別 | 年齢 | 職業 | |
---|---|---|---|
依頼者 | 女性 | 20代 | 専業主婦 |
相手方 | 男性 | 20代 | 会社員 |
子供:1人(幼稚園児) |
①相談内容
夫からDVを受け、身一つで子供と逃げて来ました。一時はDVシェルターに入り、ようやく落ち着いて子供と2人で暮らし始めたところです。夫と離婚したいので離婚調停を申し立てましたが、逆に夫から、面会交流調停の申し立てを受けました。このような場合でも、夫に子供を会わせないといけないのでしょうか?弁護士さん、教えて下さい。
②弁護士の対応
理由もなく、監護者の一方的な主張で面会交流をしなくてよいと調停や審判で判断されることはありません。そもそも、面会交流権は、子の福祉の観点から子供と親が面会をすることで子供の成長や発展に寄与するために認められる権利です。もっとも、子の福祉の観点から面会をすることで悪影響が及ぼされると判断された場合には、面会交流権が認められない場合もあります。面会交流を制限される具体例としては、過去に子供への暴力・暴言等の虐待があり、子供が怖がっている場合や、過去に親権者や監護者への暴力・暴言等のDVがあり、監護者が怖がっている場合などが挙げられます。
③離婚問題の解決
本調停では、夫からのDVを証拠に基づいて主張・立証することで、裁判官も子の福祉の観点から面会をすることで子供に悪影響が及ぼされると判断してくれました。単に、夫が怖いので会わせたくないというのではなく、証拠に基づいた過去のDVの事実から、今、面会交流をさせる危険性を強く主張したため、裁判官を説得できたと思います。結論としては、当面の間、面会交流の直接交流をしないこととし、手紙や写真を送るなどの間接交流のみすることとなり、依頼者様も安心していました。