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お役立ちコラム

会社清算における残余財産の分配とは?

2023/09/21(木)

残余財産とは

株式会社の残余財産とは、その会社が解散・清算した後に、全ての債務が支払われた後に残る財産のことを指します。

まず、会社が解散・清算すると、会社の資産は清算人により現金化され、その上で債権者への支払いが行われます。これには、社員への未払い給与、取引先への未払い金、そして税金などが含まれます。これら全ての債務が支払われた後、残った資産が「残余財産」となります。

この残余財産は、通常、株式会社の株主に対して配分されます。配分の比率は、「株主平等の原則」により、基本的には各株主の保有株式数(出資比率)に応じて決定されます。例えば、100株中50株を保有している株主は、残余財産の50%を受け取ることができます。

ただし、これは基本的な原則であり、会社の定款により例外的な取り扱いが規定される場合もあります。例えば、残余財産を優先的に分配する種類株式や、残余財産の分配を行わない種類株式などを発行することが定款に記載されていれば、その規定に従います。

残余財産を分配する前に行う手続き

解散決議
株式会社の解散には、まず株主総会にて解散を決議する必要があります。通常、解散決議の決議要件としては特別決議が求められています。特別決議とは、原則として、株主総会において議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となります。

清算人の選任
解散決議後、株主総会によって清算人が選任されます。清算人は解散会社の財産を管理し、残余財産の分配を行う責任者となります。

清算開始の届出と公告
清算人が選任されたら、その事実を法務局に届け出ます。同時に解散登記手続きも行います。また、官報に公告する必要があります。これは清算が始まったことを一般に告知するためのものです。

財産の調査と評価
清算人は解散会社の財産の全体像を把握するため、詳細な資産の調査と評価を行います。これには現金、売掛金、在庫、不動産などの全ての資産が含まれます。

債権者への支払い
清算人は債務の調査を行い、債権者への支払いを行います。そのために、必要ならば資産を現金化します。債権者への支払いは、債務の性質と法律に基づく優先順位に従って行われます。

残余財産の分配
全ての債務が清算された後、残った財産(残余財産)は株主に分配されます。分配の比率は基本的には各株主の保有株式数に応じて決定されます。

残余財産を分配した後、清算完了までの流れは?

残余財産の確定
残余財産の確定日は、財産を現金化して、事後的費用以外の債務の弁済の見込みがついた日となります。

株主総会の開催
株主総会で財産目録、貸借対照表が承認されると、清算が結了し、法人格も消滅することになります。株主総会決議から2週間以内に法務局に清算結了の登記を行います。

残余財産に関しての種類株式について

普通株式と種類株式(特に、優先株)の主な違いは、残余財産の分配順序にあります。これは会社が清算または解散した際に、残った財産がどのように株主間で分配されるかを決定します。

普通株式
普通株式は一般的に株式会社の基本的な株式形態で、所有者には利益の分配(配当)と、株主総会での議決権が付与されます。そして、会社が清算または解散すると、全ての債務が支払われた後の残余財産が、普通株式を所有する株主間で分配されます。

優先株
種類株式の一種である優先株は、特定の優先権を付与された株式で、その中には「優先的な財産分配権」が含まれることがあります。これは、会社が清算または解散した際に、優先株を保有している株主が普通株を保有している株主よりも先に、残余財産を受け取る権利を持つことを意味します。
これにより、もし会社が清算または解散すると、優先株を保有している株主は、全ての債務が支払われた後、最初に残余財産を受け取ります。その後、さらに残余財産がある場合にのみ、普通株を保有している株主が残余財産を受け取ることができます。

残余財産を現物で分配する方法

現物資産による残余財産の分配とは
会社が解散や清算を行った際、その残余財産は通常、全ての債務が支払われた後に株主間で分配されます。多くの場合、残余財産は資産を現金化した後に分配されますが、原則として、残余財産は現物のまま分配することも可能です。

現物分配は、現金化せずに株主に物的資産を直接分配する方法です。これは特に、財産を現金化するとその価値が損なわれる、または、現金化するためのコストが大きい場合に有効な手段となり得ます。

現物資産による残余財産の分配の具体例
現物資産の例としては以下のようなものがあげられます。

・不動産
会社が所有していた不動産(ビル、土地など)が残余財産として分配される場合、この不動産は現物で分配することが可能です。ただし、分配される不動産の価値は適切に評価され、その価値に基づいて株主に分配されるべきです。

・有価証券
会社が他の企業の株式や債券を保有していた場合、これらは現物で分配することが可能です。これらの有価証券は市場価格によって価値が評価されるため、株主に等しく価値を分配するための基準として使用することができます。

・物的資産
会社が所有していた機械や設備、車両、在庫なども、残余財産として現物で分配することが可能です。これらの物的資産の価値を適切に評価するためには、専門的な知識が必要となる場合があります。

・知的財産
会社が保有していた特許権や商標権、著作権などの知的財産も、残余財産として分配することが可能です。ただし、これらの価値を評価するためには専門的な知識が必要です。

現物分配による残余財産の分配を行う際の注意点

現物分配を行う際には、いくつかの重要な視点があります。一つは、各株主が等しく価値を受け取れるよう、財産の価値を適切に評価することが必要です。また、全ての株主が同じ物的資産を受け取るわけではないため、その分配方法についての合意を形成することも重要です。

現物分配は一見複雑に思えるかもしれませんが、株主の利益を最大化するためには、有効な選択肢の一つとなり得ます。それには、清算人が適切な評価と公正な分配を行うことが求められます。

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