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お役立ちコラム

自己破産のよくある勘違い

2023/09/04(月)

手続きに関する勘違い

1自己破産すればすべての借金がなくなる
すべての借金が自己破産で免責されるわけではありません。例外的に、免責されない債権があります。自己破産しても免責されない債権には、固定資産税や住民税のような税金があります。養育費や婚姻費用分担義務に基づく支払いも自己破産を通じても免責されません。また、暴行の被害者から加害者への損害賠償請求など破産者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権も免責されません。どのような債権が免責されないか具体的には弁護士にご相談下さい。

2どんな理由でも自己破産は認められる
自己破産による免責が認められないケースとして「免責不許可事由」があります。借金を作った原因によっては借金の免責が認められないことがあるのです。例えば、浪費や賭博、射幸行為(宝くじなど)を過度に行っているような場合は、免責不許可事由に該当します。また、破産手続き中に借り手が不正な行動をとった場合(例:資産を隠す、債権者をだます、文書を偽造または破棄するなど)も、その行動は免責不許可事由となります。しかしながら、免責不許可事由に該当したら絶対に自己破産は認められないということはなく、悪質な行為がなければ、裁量免責(裁判官の判断による免責)になる可能性が高いです。裁量免責を認めてもらうためにも弁護士に相談することをお勧めします。

3自己破産は誰にでも簡単にできる
自己破産の申立手続きを自分で進めることは非常に難しく、弁護士や専門家の助言を得ることが推奨されます。その理由は以下の通りです。

・手続きが複雑
自己破産の手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。必要な書類の準備、裁判所での手続き、債権者との交渉など、専門家の助けがあるとスムーズに進むことが多いです。

・自分では適切な選択ができない
自己破産は一つの債務解決の選択肢にすぎません。弁護士などの専門家は、ご相談者様の財政状況を考慮に入れて、自己破産以外の選択肢(例:任意整理、特定調停、個人再生など)を提示し、最善の解決策を提案することができます。

・債権者対応は弁護士にお任せ
弁護士はご相談者様の法的権利を守るために働きます。特に債権者からの過度な圧力や不適切な行為がある場合に弁護士が代理人となっていれば、債権者対応は全て弁護士に任せることができるので心強いでしょう。


4自己破産の申立をすればすぐに借金がなくなる
自己破産を裁判所に申立て免責許可がでれば、一般的には借金の大部分または全てが免除され、債務者はこれらの借金の返済責任から解放されます。しかし、専門家に相談して自己破産を申立てたらすぐに借金から解放されるというわけではなく、自己破産の申立てから免責許可までには裁判所の手続きが必要で、これには時間がかかることが一般的です。また、裁判所に自己破産を申し立てるための必要書類等の準備期間も必要となります。自己破産にかかる期間は、同時廃止と管財事件のどちらで手続するのか、管轄となる地方裁判所などでも違いが出てきますが、比較的簡単とされる同時廃止で専門家に相談してから免責許可までに3~4ヶ月、長い場合で6ヶ月程度かかります。

手続き後の自身の生活に関する勘違い

1自己破産すると、すぐに新しいビジネスを始められる
自己破産をすると、信用情報機関にその記録が残り、新たなビジネスを立ち上げるための融資を受けることが難しくなる可能性があります。

2自己破産すると、すべての財産を失う
自己破産をすると、すべての財産を失うという考える人がいるかもしれませんが、実際にはそうではありません。自己破産制度の目的は、破産者が再出発できるように支援することであり、生活できなくなるような財産の取り上げはしません。例えば、99万円以下の現金(預金は含まれない)や生活必需品など法律により差押が禁止されている財産は手元に残すことができます。

3自己破産すると、就職に影響がある
確かに一部の企業では信用情報を確認することがありますが、すべての企業がそれを採用の条件とするわけではありません。また、公務員等一部の職種では制限がありますが、それは例外であり、一般的な就職活動には大きな影響はないと言えます。

4自己破産すると選挙権がなくなる
日本の法律では、自己破産を理由に選挙権が剥奪されることはありません。したがって、自己破産者でも公職選挙法に基づく選挙(国会議員選挙、市町村議会議員選挙など)に参加することが可能です。

5自己破産すると住民票や戸籍に載る
日本の法律では、自己破産の事実が住民票や戸籍に記載されることはありません。自己破産は裁判所の記録に残り、信用情報機関にも登録されますが、それは特定の目的(新たな信用取引の判断等)で限定的に利用されるもので、一般的な公的記録(住民票や戸籍)には反映されません。

6自己破産すると賃貸物件を追い出される
自己破産を申請した際に、直接的に賃貸物件から追い出されることはありません。ただし、賃貸契約の中には、借主が破産した場合に契約を解除できるという条項が含まれている場合もあります。そのような条項がある場合、大家は法的に契約を解除し、借主を追い出すことが可能です。ですから、自己破産を考えている場合は、賃貸契約の内容を確認し、必要であれば法律家に相談することが重要です。

7自己破産すると会社をクビになる
これは一般的には誤解です。自己破産が直接的に雇用解除の理由となることは稀です。しかし、特定の業種や職種(例えば、金融業界や公務員など)では、信用状況が重視されるため、自己破産が雇用に影響を及ぼす可能性があります。また、労働契約によっては、自己破産を理由に雇用契約を解除することが可能な場合もあります。したがって、自己破産を考えている場合は、労働契約の内容を確認し、必要であれば法律家に相談することが重要です。

手続き後の周囲の目に関する勘違い

1自己破産は恥ずかしいこと
自己破産は法律が許容している手続きであり、経済的困難からの再出発を助けるためのものです。感情的な評価ではなく、法的な手段として考えるべきです。

2自己破産すると会社に知られる
自己破産の事実が自動的に雇用主に通知されるわけではありません。しかし、自己破産の申立ては裁判所に公開され、それが信用情報機関に登録されます。したがって、特定の状況下で(例えば、雇用主があなたの信用情報をチェックするなど)自己破産の事実が知られる可能性はあります。それでも、一般的には自己破産の事実が雇用主に知られることは少ないと言えます。

手続き後の借り入れに関する勘違い

1自己破産すると配偶者もカードが使えなくなる
一般的には誤解です。自己破産した本人のクレジットカードが使用不能になるのは当然ですが、配偶者のクレジットカードが直接的に影響を受けることはありません。ただし、配偶者が本人と同じ家族カード等を使用している場合、本人の破産によってそのカードが使用不能になる可能性があります。また、家庭全体の信用状況が変わるため、新たにクレジットカードを作る際に影響が出る場合もあります。

2自己破産の申立をすれば、借金取りから追い詰められなくなる
自己破産の申立をすると、それが認められるまでの間、債権者からの取り立ては停止されます。ただし、自己破産が認められなかった場合や免責不許可事由に該当する借金の場合は、引き続き追求される可能性があります。

3自己破産すると一生ローンが組めない
確かに自己破産の記録は信用情報機関に5年間残り、その間に新たなローンを組むことは困難になります。しかし、その期間が過ぎれば、信用状況が改善され、新たにローンを組むことが可能になります。ただし、信用情報がクリアになった後でも、金融機関が個々の信用状況を考慮してローンの承認を決定するため、必ずしもすぐにローンが組めるわけではありません。

4自己破産したら、一生借金ができなくなる
自己破産後、信用情報機関に5年間記録が残りますが、その後は通常の生活が可能になります。ただし、その期間中は新たな借金をするのが困難になる場合があります。

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