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ご相談事例
不倫相手と妻に慰謝料を請求し、子供の親権は私が持ち養育費ももらいたい

2024/01/25更新

男性・ 40歳代

・子供有り

・結婚歴11~15年
妻の不倫に悩んでいる40代男性です。
実は今に始まったことではなく、今までにも同じことを3回は繰り返しています。今回ばかりは、もう腹に据えかねたので、離婚を考えています。子供は現在12歳ですが、多感な年頃なのでやはり何かを察知しているらしく、妻には硬い態度をとるようになってきています。妻の不倫相手は妻の信仰する宗教の信者です。私はその宗教は信仰していません。妻の過去の相手も全員、同じ宗教の信者でした。子供も無理矢理信者にされてしまっています。私は、父子家庭になってもいいので、妻の不倫相手と妻の両方に慰謝料を請求して離婚し、子供の親権は私が持ちたいと思っています。妻からの慰謝料は、結婚15年目なので、150万円くらいが相場かと思っていますが、相手からはいくらもらえるものなのか、見当がつきません。また、離婚の場合は多くの場合親権も母親の方にいくと聞いています。私は、不貞を繰返す妻には絶対に息子を渡したくはありません。どうしたら私の思うような形で慰謝料をもらって、離婚できるでしょうか。
弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 宮澤 美和
①奥様と不倫相手の男性に対する慰謝料請求について:慰謝料(民法第710条)とは不法行為(民法第709条:故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為)によって被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金であるところ、既婚者が配偶者以外の相手と性的関係を伴う交際をした場合、既婚者は配偶者の貞操権(自分以外の相手と性的関係を持たないことを配偶者に対して要求する権利)を侵害したことになり、これが配偶者に対する不法行為となります。そして既婚者の不倫相手が、相手が既婚者であることを知りながら性的関係を持った場合は既婚者の不貞行為に加担した共同不法行為者(民法第719条1項)として既婚者と連帯して慰謝料支払い義務を負うことになります。法律上は、既婚者と不倫相手が負う慰謝料支払い義務は民法の連帯債務(民法第436条~)に類似する「不真正連帯債務」となり、同一の債務につきそれぞれが全額の慰謝料支払義務を負う形になります。本件では奥様の不倫相手の男性が奥様が既婚者であることを知りながら交際して性的関係を持った場合は相談者様は奥様に対しても不倫相手の男性に対しても慰謝料請求することができます。奥様に対しては離婚手続の際にまず夫婦間の話し合い(協議)の中で請求することができます。請求額については、協議では特に定めはなく、相手方が承諾すればその金額の支払いを請求することが可能です。離婚協議で慰謝料及びその他の協議事項(財産分与、未成年の子の親権、面会交流など)のすべてに合意が成立すれば、居住する市町村または一方の本籍地のある市町村の戸籍課に離婚届(民法第765条)を提出して受理されることにより離婚が成立します。奥様が離婚を拒否した場合、あるいは慰謝料またはその他の協議事項の一部またはすべてに合意が成立しなかった場合は相談者様が家庭裁判所に離婚調停(家事事件手続法第255条1項)を申し立てて、調停委員に対して双方が主張を行う形で離婚するか否か及び奥様が離婚に同意した場合の協議事項について話し合いを行います。調停でも慰謝料額について自ら定めた金額を主張することができますが、調停委員が経験などに照らして相場的な金額を助言したり、奥様側の主張に沿って減額かつ・または分割払いによることを含めた調停案を提示する可能性があります。調停でも奥様が離婚を拒否し続けたり、あるいは慰謝料その他の協議事項の一部またはすべてに合意が成立しなかった場合は調停は不成立となります。仮に離婚することについて合意が成立していて協議事項の一部に合意が成立しなかった等、家裁の裁判官が適切と判断した場合は調停に代わる審判手続(家事事件手続法第284条1項)に移行して裁判官が職権で協議事項を定めます。慰謝料の額を裁判所が判断する場合、支払義務者側の離婚原因についての責任の程度、婚姻期間、双方の経済状況等が考慮されます。一般の離婚の場合には平均200~300万円くらいと考えられます。慰謝料の金額の点については、離婚の原因が奥様の不倫にあることなどを考えると、150万円という金額が認められる可能性はあります。審判手続が終了して審判事項通知を当事者が受け取ってから2週間以内に当事者が異議を申立てなければ審判事項は確定します(家事事件手続法第287条1項)。ただし、2週間以内に当事者の一方が異議を申し立てると審判事項は無効になります(家事事件手続法第286条5項)。審判事項が無効になった場合、あるいは審判手続が行われなかった場合は相談者様が離婚の訴え(民法第770条1項)を提起して訴訟で離婚請求することになります。訴訟提起する上で訴状に法定離婚事由(民法第770条1項1~5号)を記載する必要がありますが、本件では配偶者の不貞行為(民法第770条1項1号)とすることができます。訴訟では法定離婚事由及び慰謝料請求の根拠として相談者様側が奥様の不貞行為の事実を立証する必要があります。訴訟手続もすべて判決により結論を出すわけではなく、多くの場合1・2回の弁論を経た後に裁判官が当事者に和解交渉を勧告します(民事訴訟法第87条)。和解が成立する見込みがないと裁判官が判断した場合は判決手続に戻ります。判決手続が行われる場合、慰謝料については審判と同様の判断基準で裁判官が判断します。相手の男性に対する慰謝料請求についてはまず請求理由・請求金額・支払期限及び「期限までに支払われなかった場合には訴訟提起等の法的措置をとる」旨を記載した内容証明郵便を送付することをお勧めします。相手が示談交渉を申し入れた場合には応じて本人または代理人と交渉を行います。奥様に対して150万円請求する場合には、1個の慰謝料債権の一部として150万円を奥様に請求するという形になるので、たとえば相手の男性に100万円請求するとすれば慰謝料全額は250万円と定めることになります。交渉では相手方が承諾すればその金額を請求することが可能で、示談書を公正証書として作成すると慰謝料支払いにつき強制力が生じます(民事執行法第22条7号)。提示した金額を相手が拒否し続けて示談が成立しなかった場合、及び相手方が示談交渉を申し入れずに慰謝料を支払わなかった場合は慰謝料請求訴訟を提起します。この場合、請求額が140万円未満の場合は相手の男性の住所のある市町村を管轄する簡易裁判所、140万円以上の場合は同地方裁判所に訴状を提出することになります。裁判で不倫相手に慰謝料を請求する場合、相手の経済状況のほか、配偶者に対しても慰謝料請求するか否かやその相手との不貞行為が原因で離婚するか否かによって認められる金額が異なります。本件の場合は離婚原因になっている一方で奥様に対しても慰謝料請求していることから、100~150万円程度まで認められる可能性があります。
②親権について:親権(民法第819条)に関しては、協議で親権者を父と定めることに奥様が反対しなければ、その他については前述のようにすべてに合意が成立した場合に協議離婚(民法第763条)が可能です。相談者様が調停を申し立てた場合、親権の定めについても前述のように当事者間の話し合いにより定めるものの、子供が10歳以上の場合は実務上調停委員が子供の意見を聞いています。従って本件ではお子様が12歳であるためお子様の意見も反映させた調停案が作成されます。審判手続または訴訟で裁判所が親権を判断する場合、子供の利益と福祉という点から判断され(民法第766条1項後段)、双方の経済状況や養育への意欲、環境のほか子供の年齢等も考慮の対象となります。15歳以上の場合は子供本人の意見を聞かなければならず(家事事件手続法第152条1項)、実務上10歳以上の子供に対しても意見を聞いています。10歳未満の子供の場合には母性優先の原則により母親に親権が認められる傾向が強いといえます。また、子供の教育環境はなるべく現状を維持する方がよいとされ、現状維持の原則が重視される傾向があります。このような点から考えると、お子様の意見は反映されるものの、奥様に親権が認められる可能性のほうが高いと思われます。ただ、すでに父親が子供を養育しているような場合や、母親が育児放棄していたり虐待していた事実があるような場合、子供が父親と同居することを明確に希望した場合には総合的に判断して父親に親権が認められる可能性があります。離婚手続、慰謝料請求及び親権の交渉について等より詳しくは弁護士にご相談頂ければと思います。

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