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ご相談事例
別居をしたことで離婚の原因を作ったと言われてしまうのでしょうか

2022/01/18更新

女性・ 50歳代

・子供有り

・結婚歴26~30年
50代女性です。子供は25才の女の子が一人おり、大学を卒業後社会人として働いており私と同居(私の実家)しています。別居の主人は3歳年上です。若いころから浮気を繰り返しており、現在も付き合っている女性がいる模様です。その女性はホステスで、主人は最近離婚してほしいと私に言ってきています。おそらく、そのホステスと再婚をしたいようなのです。
別居して3年ほどたちます。娘が社会人になり、生活のめども立ったことから別居に踏み切りました。暴力などは振るいませんが、一向に治る気配のない主人の浮気癖にほとほと嫌気がさしました。幸い、私も仕事をもっていることから、生活費などには困らず、実家の両親も年老いてきたことから、娘と二人実家で暮らしています。離婚して籍を抜かない最大にして最後の理由は、娘の結婚です。親が離婚しているなどの理由で結婚に障害が出るなどは過去の話のようですが、万が一娘が好きになった人がそういったことを気にする人であったらいけないという理由で離婚に踏み切れません。主人の浮気が原因での別居ですので、主人からの離婚申請は有責主義というもので阻止できると思っていました。しかし主人曰く、一方的に別居に踏み切ったのは私なので、有責主義といっても、非はどちらにも等分にあると言い張ります。離婚したいのですが、認められますでしょうか?弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 北川 英佑
本件は有責配偶者である旦那様のほうが先に離婚請求しているため、有責配偶者からの離婚請求が認められるかが問題となります。一般的には仮に有責配偶者のほうから離婚を求めてきた場合でも、有責性のない配偶者側が離婚を認めた場合は協議離婚(民法第763条)によることが可能です。とはいっても財産分与や慰謝料、親権などの必要な協議事項すべてで合意することは通常困難です。本件の場合相談者様がこれまで娘さんの結婚のことを考えて躊躇されていたとしても結論として離婚することに同意されるとすれば、まず調停により折り合いをつけることが妥当と考えられます。本件ではお子様は成人しているので親権は問題にならないため、慰謝料請求や財産分与が主な調停事項になるかと思います。仮に調停で1つ以上の事項で合意できなかった場合で旦那様が依然離婚を求める場合は有責配偶者側が原告となる裁判(離婚の訴え:民法第770条1項)で決着させることになります。離婚の訴えは原告側が民法第770条1項1号~5号に定めた条件のいずれか1つまたは複数に該当することを主張することになりますが、本件では別居して3年が経過していることが同条第1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかが問題となります。判例の基準によれば、①長期間の別居②未成熟の子供がいないこと③相手方配偶者が酷な状況に置かれないという条件を満たす場合にその他の事情も総合的に考慮した上で離婚請求が認められることになります。また、被告のほうにも不貞行為またはそれ以外の原因での有責性があると認められる場合は双方の有責性の程度(いわゆる落ち度)の差も考慮されます。 本件では相談者様のほうから別居を始めたという事情は、夫婦関係を破綻させた原因という点に鑑みると多少の有責性があると判断される可能性はあります。しかし、結婚以来浮気を繰り返し現在もホステスと交際しているという事情のほうが有責性としてははるかに大きいと考えられます。ただし、相談者様が離婚するという結論自体は裁判でも認めるとすれば相談者様からの慰謝料請求や財産分与などの条件で有利な判決を得たほうが得策といえます。相談者様にとって最善の解決をもたらすためにも、離婚の方法などを始め弁護士に相談することをお勧めします。


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