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ご相談事例
婚姻を継続しがたい重大な事由に該当しますか

2022/02/02更新

女性・ 30歳代

・子供無し

・結婚歴1~5年
もう離婚したいです。30代の専業主婦です。
私は28のときに現在の夫と婚姻したのですが、夫は実家の両親の世話をしたいと言っていたため、両親と共に住むことになりました。そして夫は現在の仕事はやめたくないけれど、両親も心配なので私にずっと家にいてほしいということで、私に仕事をやめてほしいと言いました。私は学生時代、やっとの思いで入ることができた会社であり、仕事も覚えて楽しくなってきたところだったので辞めたくはなかったのですが、夫のためにと思い、会社を辞めてしまいました。
そして、会社を辞めて夫の実家で主婦を始めたのですが、家にいることが長くなると元は仲は悪くなかった義母との衝突が増え、嫌がらせを受けるようになりました。とにかく嫌味がひどく、時には暴言を吐かれたりして、毎日やられるとすごく傷つくし、ストレスがすごく溜まります。ストレスで胃が痛くなって最近では病院にも通っています。そしてたちが悪いことに夫の前ではそんな風を全然見せないため、夫もたいしたことないと取り合ってくれず、必死で言ってもなにもしてくれないので当時すごく愛していた夫に対して冷めてしまいました。
もう離婚して自由になりたいです。これは婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するのではないですか。もし当たらないならば婚姻を継続しがたい重大な事由とはどのような基準で決まってるんですか。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 鵜飼 大
本件で伺った事情からは、おっしゃるように義母様との不仲(義母による精神的暴力)が婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する可能性があります。婚姻を継続しがたい重大な事由(民法第770条1項5号)とは、協議離婚や調停離婚が成立しなかった場合に最終的に裁判で離婚を認めてもらうために必要な法定離婚事由の1つです。婚姻を継続しがたい重大な事由とは、夫婦関係を破綻させた原因を指します。義母を含む夫の家族・親族との関係が原因で離婚が認められるケースはこれまで多くあり、2017年の裁判所統計によると同年の裁判離婚件数65,725件を申し立て理由別に分類すると、夫婦の双方あわせて5,717件(全体の8.7%)が「家族親族との関係」を理由としています。姑等、配偶者の家族親族との関係が夫婦関係を破綻させたといえるためには、それが原因で別居するに至ったり、義親族のモラルハラスメントが原因で離婚請求者側が心身に不調をきたして心療内科や精神科に通院するに至った、あるいは配偶者が母親等その親族の味方をするだけでなく離婚請求者に対して呵責したり暴力をふるうなどの態度・行為に出て、それによって負傷したり通院することになった等の事情が存在し、それを立証することが必要になります。なお、離婚を求める裁判はいきなり(最初から)起こすことは法律上認められず、協議による離婚ができる場合を除いて最初に家庭裁判所に対して離婚調停を申し立て(家事事件手続法第255条1項)調停が成立しなかった場合に離婚を希望する人は、離婚の訴えを提起することができます。調停の場合は、義母のモラハラ等の事情を申立書に書くことができますが、あくまでも調停委員を介した話し合いによって進められるので、調停の申立てあるいは成立のために裁判で立証が求められるような過酷な事情が存在することは必要とされません。本件でも離婚するためにはまず調停によることになります。仮に離婚することそのものや財産分与などの条件で合意に至らず調停が成立しなかった場合でも、義母様の言動が原因で通院されるようになったという事情、旦那様がまったく相談者様の話を受け入れないこと等から、義母との関係が夫婦関係を破綻させたと認められる可能性があります。なお、離婚の訴えを提起される場合は裁判で離婚原因を立証するための証拠の一つとして、通院されている医療機関で診断書を書いてもらうことをお勧めします。また、義母様の今後の言動等はできる限り録音・撮影しておかれることもお勧めします。また、本件では慰謝料請求も認められる可能性もあります。離婚手続きの進め方につき弁護士にご相談下さい。

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