ご相談事例
セックスレスが原因の離婚について教えてください

夫婦でセックスレスが続いている場合に離婚はできるのでしょうか。
私は、30代の主婦です。結婚してから6年目に入ります。夫とは職場で知り合い、数年間付き合った末に結婚、退職して主婦になりました。
セックスレスになったのは4年ほど前からです。結婚するまでは週2～3回ほどあったのですが、結婚してから徐々に回数が減っていきました。夫は性的に淡泊というわけではないと思いますが、ここ数年は一緒のベッドで寝ていても何もしようとしません。私が誘ってみても「疲れているから面倒」、「そんな気分にならない」というような事を言って寝てしまいます。夫の仕事は出張や残業が多い激務なので、「お前にまで構っていられない」と言われました。同じ職場で仕事をしていたこともあり、忙しさや大変さは充分に理解しているつもりです。
浮気の可能性についても考え、元同僚の数人に連絡をとって確認してみましたがその可能性は低いように思われます。夫が自分に女性としての魅力を感じてくれない事や、面倒だという理由で夫婦の関係が蔑ろにされているのが苦痛で仕方がありません。
夫に対しては男性としても家族としても愛情を感じています。出来るだけ離婚は避けたいですが、このままでは夫婦として生活する意味がないように思えます。
この場合、離婚することは可能なのでしょうか。弁護士の法律相談希望です。

法律上、協議による離婚(民法第763条)をすることは原因がどのようなことであっても可能です。離婚することそのものに合意ができていれば、財産分与や未成年の子供がいる場合の親権者や監護権者・監護費用の分担についてなどの所定の協議事項を夫婦間の話し合いで定めることになります。ただし離婚することや、親権など合意できない事項があれば離婚を求める側が家庭裁判所に離婚調停を申し立てます(家事事件手続法第255条1項)。調停の段階でも、原則として離婚の申し立て理由に法律的な制限はありません。従って、協議・調停の段階では離婚を求める原因が長期にわたって性交渉がないことなどの「性的不調和」であっても手続きを進めることはできます。問題になるのは、相手側が協議・調停でも離婚を拒否し続けたり、財産分与や親権などの協議事項で合意に至ることができず調停が不成立になった場合に裁判で「性的不調和」を理由として離婚を認めてもらえるかどうかです。法律上、裁判で離婚請求が認められるためには民法第770条1項で定められた法定離婚事由が存在する(それを主張・立証できる)ことが必要です。性交渉がないことを理由とする場合は、その結果として愛情が失われて婚姻生活が破綻したという事情があれば民法第770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められる可能性があります。判例の中では、セックスレスを理由の一つとして離婚を認めたものもあります。当該判例では、夫婦間において3年半に渡り性交渉がなかったケースにおいて、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意があるような特段の事情が存しない限り長期間に渡り性交渉がないことは婚姻を継続しがたい重大な事由に当たると判断しました。性交渉がないというだけで直ちに離婚になるとは限りませんが、一つの参考になる判例かと思います。
本件の場合、4年に渡り性交渉がない状態が続いているとのことですが、まずご自身の意見を率直に話して協議離婚に同意してもらえるかどうかを聞いたうえで、もし同意が得られれば協議事項を話し合い、合意できない事項があれば調停申し立てをお考え下さい。離婚することに同意が得られない場合、協議離婚することはできなくなりますが調停申立てすることは可能です。調停でも離婚に合意できなかった場合に裁判で離婚請求が認められるかどうかとなると、ご主人に対する愛情が失われ、婚姻生活が破たんを来しているとまではいえないのであれば離婚するのは難しいと思われます。

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