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ご相談事例
DVとネット不倫をしている旦那と別れたい

2023/02/15更新

女性・ 30歳代

・子供無し

・結婚歴1~5年
30代主婦です。DVとネット不倫をしている旦那と別れたいです。
昨年から旦那の勤めている会社の経営状態が傾きつつあり、そのためか夫が仕事のストレスを私にぶつけてくるようになりました。殴る蹴るは当たり前で、私の人格を否定する発言を平気でしてきます。
夫と私が共用で使っているパソコンがあるのですが、どうやらネット不倫をしているようなのです。写真を交換しあって、一度私には秘密で食事に行ったということがメールの文面から分かりました。初めのころは会社の愚痴や私の悪口を言っているだけだったのですが、だんだんと恋愛色が強くなっていき、ついには「また会いたい」「食事だけじゃ足りない」「朝まで一緒にいたい」という言葉まで…。向こうの女性も「私も会いたい」「いちゃいちゃしたい」と乗り気なようです。都合が合わず会っていないようですが、次の機会も時間の問題です。その時には肉体関係を持つでしょう。
会社の状態が安定していたころはDVもなく、今DVに耐えればいつかは元の穏やかな夫に戻るだろうと思っていました。ですが、ネット不倫まで手を出した旦那にもう愛情はありません。浮気相手にも慰謝料請求できると聞きましたが、まだ相手とは肉体関係がないようなのです。恋愛をしているようなメールだけの相手に慰謝料請求はできますか。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 北川 英佑
不法行為に対する慰謝料(民法第711条)は第三者にも請求できる場合があります。
ご主人の浮気相手に対する請求などはその典型といえます。ただし、これが認められるには、①まず「不法行為」が成立していること及び②その相手方が当該不法行為を共同で行った(加担した)といえることが必要です。①たとえば離婚手続きで相手方に慰謝料を請求できる場合とは、相手方が有責不法行為を行った事実がある場合です。代表的な場合が不貞行為と配偶者に対する暴力行為(DV)です。不貞行為が有責不法行為とされる法律的な根拠は「その配偶者の有する貞操権(配偶者に対して、自分以外の相手と性的関係を持たないことを要求する権利)を侵害したこと」です。従って、不貞行為があったと認められるためには浮気をしたほうの配偶者が浮気の相手と性的関係を持ったことが必要となります。このため、食事に行ったとか、メールやLINE等でやり取りしているといったことだけで不貞行為があったということはできません。ただし、そのメールやLINE等の内容が一緒に宿泊した時の感想である等、性的関係を推測させるものを含む場合は不貞行為の証拠となりえます。
本件の場合、ご相談の時点ではご主人はまだ浮気相手と性的関係を持ったことはないと思われるので、現時点での浮気相手への慰謝料請求は難しいと思われます。もっとも、離婚の調停を申し立てた場合に暴力行為に対する慰謝料請求をすることは可能です。また、調停での話し合いの時点で仮に浮気相手と性的関係を持たないままであったとしても、いまだ浮気を続けていたような場合はその旨を婚姻関係破綻の原因として主張することができます。調停が不成立となり相談者様が離婚の訴え(民法第770条1項)を提起される場合でも、離婚事由として不貞行為(民法第770条1項1号)のほかにDVを「婚姻を継続しがたい重大な事由」(同条1項5号)として主張できるため、不貞行為の証拠が十分得られなかったとしてもDVのほうの証拠を揃えることができれば離婚請求が認められる可能性が高いです。また慰謝料請求についても同様です。DVについてはまず配偶者暴力相談支援センターにご相談に行かれることをお勧めします。同センターでの相談記録が、DVの事実を立証する際の証拠ともなります。離婚の手続きの進め方については、今後の事態の変化により必要となる証拠や行うべき主張が変わってきますので、万全の準備を行うため弁護士にご相談頂ければと思います。

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