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年金分割のお役立ちコラム
年金分割の手続きを忘れるとどうなる?

2022/09/15(木)

1 年金分割の請求期限は原則2年

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、「離婚したけれども年金分割をし忘れた。」というご相談をよく受けます。
そこで、今回は離婚問題に精通している弁護士が年金分割について解説します

離婚をすると自動的に年金の半分がもらえるわけではなく、年金分割の種類に応じた手続きが必要となります。決められた期間内に年金分割の請求手続きをしなかった場合、年金分割を受けることは出来なくなります。離婚時に年金分割手続を行わなかった場合でも、離婚成立日の翌日から起算して2年を経過するまでは請求手続ができます。

しかし、分割する側の元配偶者が死亡した場合は死亡後1か月以内に手続きをする必要があります。離婚後2年が経過していると、時効で年金分割の請求ができませんので、ご注意下さい。

離婚後に年金分割の請求をする場合、3号分割の場合は離婚時と同様、請求者単独で請求手続きが可能です。
合意分割の場合は相手が分割協議に応じてくれれば可能になります。請求期間内に手続きをしなかった場合、年金分割を受けることはできなくなります。

もっとも、婚姻期間が長くない限り、後述のように老齢年金の実際の支給額増額分は1万円程度になることが多いです。
元配偶者の年収や離婚時の夫婦関係等の個別の状況に照らして合意分割を受けるメリットがあるかどうか、及びメリットが見込まれる場合の元配偶者との交渉や協議書の公正証書作成等の手続全般については、離婚問題に強い弁護士に相談することをお勧めします。

2 年金分割の期限が切れた後でも請求できるケース

離婚が成立した日の翌日から起算して2年を経過する前に家庭裁判所に調停の申立てをし、調停が成立(又は審判が確定)した場合は、調停が成立(又は審判が確定)した日の翌日から起算して6か月を経過するまで年金分割の請求をすることができます。

すなわち、離婚が成立した日の翌日から起算して2年を経過する前に、家庭裁判所に年金分割の按分割合を定める調停の申し立てをすることによって、調停が成立(又は審判が確定)する前に年金分割の請求期限である2年が経過したとしても、調停が成立(又は審判が確定)した日の翌日から起算して6か月を経過するまで年金分割の請求をすることができます。 

いずれの場合も、離婚をした日の翌日から起算して2年を経過した場合には、家庭裁判所に対して調停の申立てをすることができなくなりますので、注意が必要です。

3 年金分割の手続きに必要な手順

年金分割が可能である場合は、離婚協議にあたって年金分割(合意分割)についての話し合いを行うために年金事務所を通して日本年金機構に「年金分割のための情報通知書」を発行してもらうことが必要になります。なお、3号分割のみを行う場合、情報通知書は必要ありません。本章では、情報通知書申請手続及びその後の年金分割手続について解説します。

 1.年金分割のための情報通知書の取得 

年金分割のための情報提供請求書及び以下の書類を最寄りの年金事務所に提出します。情報提供請求書は年金事務所で入手するか、日本年金機構のサイトからダウンロードすることができます。①請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書②婚姻期間等を明らかにできる書類(戸籍謄本・夫婦それぞれの戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書またはそれぞれの戸籍の個人事項証明書のうちいずれか1つ)なお、事実婚関係にあった夫婦の場合は②に代えて事実婚の事実を明らかにできる書類(住民票等)を提出して下さい。

2.合意分割の手続き

情報通知書の記載を確認した上で、年金分割を行ったほうがよいか否かを考えます。合意分割を行う場合は、情報通知書の記載に基づいて合意分割の割合をどうすべきか話し合います。 

(1)合意成立の場合 
分割割合について合意が成立したら、合意内容を記載した協議書を公証役場で公正証書として作成します。

 (2)合意不成立の場合 
夫婦間の協議で分割割合の合意ができなかった場合は、家庭裁判所の調停手続を利用することになります。離婚の合意や他の協議事項の合意もできなければ離婚調停、年金の合意だけであれば年金分割調停を申立てることができます。 

ただし、合意が成立していない事項が年金分割のみである場合、この問題だけのために訴訟を行うのは費用や労力の点で不合理であるため、まず調停や審判を成立させて離婚を成立させ、年金分割については離婚後に協議を継続させる方法をとる当事者も多いです。このあたりの実務の話は、弁護士にご相談下さい。分割割合について合意が成立したら、合意内容を記載した協議書を公証役場で公正証書として作成します。

 3.標準報酬改定請求 
裁判所の手続で按分割合が決定されたとしても、自動的には年金分割されません。離婚成立の翌日から起算して2年以内に、標準報酬改定請求書に必要書類を添えて最寄りの年金事務所に提出します。
協議離婚の場合、協議書を公正証書として作成していれば年金分割を受ける側が一人で手続することができます。公正証書として作成していなかった場合、当事者二人で年金事務所に赴いて手続する必要があります。

4 合意分割を行う場合は弁護士に相談を

対象期間や分割割合に争いが生じない3号分割と異なり、合意分割は面倒な計算を必要とし、争いが起こりやすい手続きです。合意分割を希望する方、合意分割交渉が進まずに困っている方は是非離婚問題に強い弁護士にご相談下さい。 

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する弁護士全員が離婚問題の専門家として、年金分割に関連するあらゆるご質問にお答えし、必要な法的手段をとるためのサポートを行わせて頂きます。当事務所の法律相談は初回30分無料でご利用頂けます。

また、当日のご予約も可能で平日夕方のお仕事帰りの時間や土日にもお越し頂けます。年金分割のことでご質問がある方やトラブルに悩んでいる方は是非、当事務所の30分無料法律相談をお申込み下さい。

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