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ご相談事例
DVとモラハラをする夫と離婚したい

2023/06/02更新

女性・ 20歳代以下

・子供有り

・結婚歴1~5年
20代後半の女性です。30代の夫と3歳の長男、1歳の次男がいます。
次男が産まれた頃から夫のDVとモラハラに悩んでいます。日々殴られたり蹴られたり容赦ない言葉の暴力を浴びせられたりして肉体的にも精神的にも辛い日々を送っています。子供に対する暴力や暴言はないのですが、子供の目の前でも私に暴力や暴言を行うため、子供も夫に対して怯えてしまっています。先日次男が泣き止まなかったことを理由に殴る蹴るの暴行を加えられ、とうとう鼻を骨折してしまいました。
そこで今まで私に対してのDVとモラハラを理由に離婚したいと思っています。そのために必要な手続について教えて欲しいです。また私に対するDVとモラハラが行われてきたことの証拠が鼻を骨折したことの病院の診断書しかないのですが他に必要な証拠があれば教えて欲しいです。そして離婚後の子供との生活や金銭面で相談できるところがあれば教えていただきたいです。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
①DVとモラハラを理由とする離婚に必要な手続き及び証拠について:離婚手続は基本的には財産分与、未成年の子の親権者の定めなどの協議事項について夫婦間で合意することにより行うことが可能です(協議離婚:民法第763条)。夫婦の一方が離婚を拒否したり、協議事項の一部またはすべてが合意に達しなかった場合には、家庭裁判所での家事調停による離婚(家事事件手続法第255条1項)が考えられます。離婚調停は夫婦が直接話し合うのではなく、家庭裁判所の調停委員に対してそれぞれが主張を行い、調停委員がそれに基づいて調停案を作成する形で進められます。調停委員は必要に応じてそれぞれに助言を行いますが、当事者双方が離婚及び協議事項すべてについて合意に達しなければ調停は成立しません。なお、それぞれの主張については説得力があるほうが調停案に取り入れられやすくなりますが、後述の訴訟で求められるような厳密な証拠の提示は求められていません。調停によっても離婚の合意あるいは協議事項の一部またはすべてについての合意が成立しなかった場合で、仮に離婚そのものについては合意があり裁判官が適切と判断した場合は審判手続(家事事件手続法第284条1項)により裁判官が協議事項を定めることになります。ただし、裁判官の審判事項証明書受領後2週間以内に当事者が異議を申し立てると審判事項が無効になってしまうため(家事事件手続法第286条5項)、この制度はあまり利用されていません。審判手続を行わなかった場合は、調停を申し立てた側が同一の家庭裁判所に離婚の訴え(民法第770条1項)を提起して裁判によって離婚を請求することが考えられます。裁判によって離婚を成立させるためには、民法第770条1項1~5号に定められた法定離婚事由のいずれかが存在することを主張することが必要となります。本件の場合、ご主人からの身体的暴力や精神的暴力が離婚原因となっていることから、これらにより婚姻関係が破綻したとして、法定離婚事由の一つ(民法第770条1項5号)である「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかが問題となります。相談者様は日々殴られたり蹴られたり容赦のない言葉の暴力を浴びせられているとのことなのでDV防止法第1条が定義する「配偶者からの暴力」に該当する身体的暴力及び精神的暴力を受けていたことになるため、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当すると考えられます。
裁判による離婚請求の場合、法定離婚事由の存在を原告(請求者)の側が立証する必要があります。鼻の骨折についての診断書は証拠になり得るものといえます。また、実際に暴力を受けているときの映像や録音、心療内科等を受診した診断書、配偶者暴力相談支援センター(DV相談支援センター)や警察等への相談内容、暴力行為が行われた日時・場所・状況を記した日記や手帳等を記録として残しておくと証拠として利用できます。
②離婚後のお子様との生活や金銭面についての相談可能な機関について:上記のDV相談支援センターでは、被害者の生活再建と自立のための支援も行っています。県営住宅入居のための優遇措置、就労のための相談やひとり親家庭を対象とした児童扶養手当などの受給可能な手当、相談者様が年金の3号被保険者であった場合の国民年金への移行手続や必要な場合の免除申請についてなど、お子様を育てながら自立するために必要な様々な支援を受けることができます。
相談者様におかれましてはまずDV相談支援センターに指定された機関(県の女性相談センターなど)に相談に行かれることをお勧めします。多くのDV相談支援センターでは24時間対応の電話相談も行っているので、サイトで確認の上まず電話でご状況を相談されてもよいかと思います。なお、起こってほしくない事態ではありますが緊急の場合に備えて最寄りの警察署に相談された上で、危険な事態が起こった場合は警察に連絡してお子様を連れてDV相談支援センターの一時保護を求めて下さい。一時保護は乳幼児の同伴も認められています。離婚手続の進め方及び、必要な場合の刑事事件の対応等について弁護士にご相談頂ければと思います。

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弁護士 上野 一成
TEL:03-3463-5551

 

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