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ご相談事例
娘の誕生後からDVされ夫は同僚女性と同棲。慰謝料請求したい

2022/06/29更新

女性・ 20歳代以下

・子供有り

・結婚歴1~5年
私は、夫のDVで悩んでいる20代の主婦です。弁護士の先生にご相談したいことがあります。
夫とは、学生時代から同棲をしていて、付き合いも長くなったので一昨年の春に結婚をすることにしました。
同棲中は私もOLとして会社勤めをしていましたが、結婚を機に会社を退職し、専業主婦になりました。間もなく妊娠が分かり、現在8カ月の娘がいます。

夫のDVが始まったのは、娘が生まれて間もなくからです。夜中の授乳時間に娘が泣くとうるさいと言って怒ります。そのうち大声で怒鳴るようになり、私にも暴力をふるうようになりました。私は、子供に手を上げないかとそればかり心配していましたが、夫は3か月前に家を出たきり戻ってこなくなりました。知人の話では、会社の同僚女性の家に住んでいると言うことです。私は、もう夫と生活をしていく自信がありません。生活費もここ半年ほど家に入れてくれません。今の生活費は私のOL時代の貯金で賄っています。

私の気持ちとしては、夫と離婚をし、私に対するDVと不倫の慰謝料請求をしたいと思っています。子供の親権や養育費のことも心配です。どのようにしたら離婚後の私と娘の生活が安心して出来るようになるか、ご相談したいと思います。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
①慰謝料請求について:離婚に伴う慰謝料請求(民法第710条)が認められるためには、配偶者が有責不法な行為を行った事実があることが必要になります。
本件では配偶者による継続的な身体的暴力が認められ、また知人の方の話が真実であれば不貞行為の存在が推測されるので、ご主人が有責不法な行為を行ったと主張することができます。従ってそれにより生じた精神的苦痛に対する賠償すなわち慰謝料請求が認められます。

手続きとしてはまず相談者様が家庭裁判所に離婚調停(家事事件手続法第255条1項)を申し立てて、離婚とともに慰謝料(及びその他の協議事項)を請求する旨の主張を行います。調停では当事者がそれぞれ別の時間帯に調停委員に対して主張を行い、調停委員がすり合わせて作成した調停案に双方が合意すれば調停が成立します。慰謝料請求についても、裁判官が定めるのではなく合意によって決定されます。

それだけに特にDVを原因とする調停では慰謝料を始め協議事項で双方の同意を得ることが難しくなることがしばしばあります。調停では訴訟における立証ほど厳密な証拠は求められていませんが、証拠がそろっていれば調停委員を介して相手方に慰謝料請求を認めさせる材料になるほか、裁判になることも想定して相手方のDV行為と不貞行為の証拠を揃えることをお勧めします。

相手方が(裁判官が説得しようとしても)調停期日に出頭しなかったり、離婚や慰謝料請求その他の協議事項に合意が得られなかったような場合は調停が不成立となります。この場合、相談者様が調停を行った家庭裁判所に調停不成立証明書を発行してもらい、戸籍の全部事項記載証明書を取得してこれらと合わせて同一の家庭裁判所に訴状を提出し、離婚の訴え(民法第770条1項)により離婚請求することになります。

訴訟で離婚請求を行うためには民法第770条1項1号~5号に列挙された法定離婚事由のいずれかに該当する事由を主張する必要がありますが、本件では1号の「配偶者の不貞行為」及び、DV行為によって婚姻関係が破綻したとして5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を主張することができます。なお、離婚事由とする不貞行為及びDVの事実については慰謝料請求する上での配偶者の有責不法行為と同じく相談者様側が立証する必要があります。立証のためには裁判官にその事実の存在の確証を得させるような証拠が必要となるため、本件の状況で不貞行為の証拠を集めることが困難な場合はDVのみを主張・立証することになります。

DVの事実を立証するための証拠としては①暴力による負傷部位の画像(被害者本人のものと判別できるよう顔を撮影範囲に収めて下さい) ②負傷部位の治療のために受診した医療機関の医師による診断書 ③暴力を受けている場面の音声や動画 ④ DV行為が行われた日時・場所・状況を記録した日記 ⑤心療内科等の医師の診断書 ⑥ 配偶者暴力相談支援センター・警察署の相談記録などが挙げられます。(配偶者暴力相談支援センターでは配偶者からDVを受けた被害者の保護や、就労も含めた自立支援を行っているので早期に最寄りの支援センターにご相談下さい。)本件の場合、ご主人が3か月前に家を出ていることからこれから①②③の証拠を揃えるのは難しいですが、ご主人は家を出て他の女性と同居することによって夫婦の同居義務(民法第752条)にも違反し、婚姻関係を破綻させているという主張・立証がしやすいことから、離婚請求や慰謝料請求については認められる可能性が高いといえます。慰謝料の金額については、不貞行為を立証できた場合の方がより高額になりますが、DV行為のみを原因とする場合、双方の収入や未成年の子の有無、婚姻期間などを考慮して50~100万円程度で認められる可能性があります。

②離婚後の親権や養育費について:親権(民法第819条)については、調停段階でも子供の利益と福祉という観点を重視して調停案が作成されますが、子供が乳幼児期である場合には母親が育児放棄して家を出た等の特別な事情のない限り母親に親権が認められる可能性が高いです。訴訟になった場合も同様です。本件ではさらにご主人が3か月前に家を出ていることから子の監護の義務と権利を放棄したといえるので、相談者様が親権者と定められる可能性が高いといえます。また、この事情があることで、ご主人が家を出てからお子様の監護を相談者様一人で行っているため養育費の請求も認められやすくなります。なおこれ以外にも、同居していたか否かにかかわらず離婚までの間の生活費については婚姻費用(民法第760条)として請求することが可能です。離婚及び慰謝料・親権・養育費支払い等をすべて認められるよう、弁護士にご相談頂ければと思います。

ウカイ&パートナーズ法律事務所は、東京の渋谷駅にある法律事務所です。離婚相談をご希望の場合には、30分無料相談もございます。離婚に詳しい弁護士が対応致しますので、当事務所宛にご連絡下さればと思います。

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