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ご相談事例
DVで離婚後も鬱状態です。鬱病者の就労支援やDVの相談窓口を知りたい

2022/06/15更新

女性・ 40歳代

・子供無し

・結婚歴6~10年
私は46歳、女性です。
少し前まで結婚していたのですが、元夫の酒グセがひどく、毎日DVに脅かされた生活が続いていました。私はそれから逃げるようにそこから出て行き、やっと離婚が成立したばかりです。DVの後遺症によって私は欝気味になり、家からほとんど出ることがありません。仕事をしたいと思うのですが、人と接することに恐怖を感じているのでまだ働くことは難しい状況です。現在は自分で貯めてきたわずかな貯金で生活しています。
私はここから立ち直って元気に仕事がしたいのです。どこかに私のこの状況を相談できるようなところはありませんか。このような相談でも無料で相談受けて頂くことはできますでしょうか?。できれば鬱病患者の就職に関する相談窓口もあるなら教えてください。私は今のこの状況から少しでも早く立ち直って、人間らしく生き生きとした生活が送りたいのです。そろそろ生活費も底をつきそうなので働かなければならないのですが、DVを受けていた時の慰謝料を離婚が成立した今でも請求することはできるのでしょうか?弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
①DVに関する相談窓口としては、配偶者からの暴力及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)に基づき配偶者暴力相談支援センターに指定された機関(県や市などの女性相談センター等)があります。(DVが原因で離婚したDV被害者もDV防止法に基づく措置や支援センター等による支援の適用対象となります。) 配偶者暴力相談支援センターは被害者からの相談対応、被害者の心身の健康の回復のための医学・心理学的指導等、被害者やその子供の一時的保護、被害者の自立の促進の為の情報提供や援助、DV防止法第10条に基づく裁判所の保護命令制度の利用についての情報提供や助言、被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供や援助などを行っています(DV防止法第3条)。ここで相談やカウンセリングなどを無料で受けることができます。仮に元配偶者が危害を加えるような行動を起こしてきた場合でも、現在婚姻関係にある配偶者から危害を加えられている被害者と同様の保護を受けることができます。
②鬱病患者の就職に関する相談については、各都道府県や市・特別区などの自治体が指定する再就職支援センターにおいて支援プログラムや相談を行っています。利用料は自治体が負担するため無料です。実施するプログラムは個別の支援センターにより異なりますが、患者本人の症状を把握し、意見をしっかり聞いたうえで就職をサポートしてくれるほか、就職後のサポートも受けることができます。就労の御意思があれば、センターの支援によって望む仕事に就くことが十分可能です。ネットで「鬱病 就職支援 無料 (〇〇県/〇〇市)」といったキーワードで検索すれば最寄りの再就職支援センターが見つかりますので、そちらにご相談下さい。
③本件で請求する慰謝料は離婚に際しての元配偶者の有責不法な行為(DV)に対する慰謝料であると考えられるところ、離婚に際しての慰謝料請求は民法の不法行為の消滅時効の規定(民法第724条1号)に従い、離婚届が受理された日から3年で消滅します。従って、離婚届を役所の戸籍課に提出した日から3年以内であれば請求することが可能です。(なお、離婚に際して「今後慰謝料請求をしない」あるいは「離婚に対する債権債務がお互いに存在しないことをお互いが認識している」などの文章(清算条項)による取り決めを行っていた場合は離婚後の慰謝料請求が認められなくなるのでご注意下さい。) DVによる離婚の慰謝料は、暴力行為や被害の程度や相手の経済状況、婚姻期間、子供の有無などにより異なりますが、訴訟で認められた範囲では最高で500万円程度となっています。慰謝料請求は最終的には訴訟によって行うことが可能ですが、最初は相手方と交渉を試みることになります。相手方が交渉に応じない、あるいは請求そのものや金額を認めない場合は家庭裁判所に慰謝料請求調停(家事事件手続法第255条1項)を申し立てることが可能です。調停では訴訟で求められるほどの厳密な証拠は要求されていませんが、訴訟になることも想定してDV行為の証拠を揃えることが重要です。(訴訟になった場合は、DV行為の事実を原告となる相談者様のほうで立証する必要があります。)一般的に、DV行為立証に有効な証拠として①負傷部位の画像(本人のものと判別できるよう顔を撮影範囲に入れたもの) ②負傷部位の治療のために受診した医療機関の医師の診断書 ③暴力を受けている場面の動画や音声 ④DVが行われた日時・場所・状況を記録した日記 ⑤心療内科等、精神疾患や不調状態の治療のために受診した医療機関の診断書 ⑥上記の配偶者暴力相談支援センター及び、警察署での相談記録等が挙げられます。本件では離婚手続きの際にこれらの証拠の一部または全部を用意されたと思われますが、現在でも⑤及び⑥を揃えることは可能です。相手方が交渉に応じなかったり慰謝料支払いを拒絶した場合は慰謝料支払いを求める民事訴訟を提起することになります。心身の健康を取り戻しつつ慰謝料支払いを受けることを可能にするため弁護士にご相談頂ければと思います。
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