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ご相談事例
DVが原因で離婚したいのでどうかお力をお貸し下さい

2022/05/13更新

女性・ 30歳代

・子供有り

・結婚歴1~5年
今現在夫からDVを受けています。
2年ほど前からです。ある日突然暴力を私に振るうようになりました。原因はわかりません。誰にも相談できずに悩んでいます。離婚を考えていて夫に離婚話をしているのですが受け入れてくれません。この話をすると余計に暴力を振るわれ状況が悪くなる一方です。なので今どうすればいいのかわからず困っています。結婚する前は暴力を受けた事はありません。結婚してから喧嘩する事が増えました。これがDVに繋がったのかもしれません。DVは他人事の様に思っていたのでまさか自分が経験するとは思ってもいませんでした。症状がない時はすごく優しい人です。ですが症状が出ると人が変わり怖くて怯えてしまいます。私の周りにはこのような経験をした方がいないので相談することができません。なので弁護士の先生のお力を貸して頂きたいです。治るものなら離婚はしなくてもいいと思っています。
これからどうすればいいのか教えて下さい。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
まず、離婚するか否かの話の前に、暴力をやめてほしいということを話し合ってみることが考えられます。ただ、DVをやめてほしいという話をしても暴力や暴言が続くのであれば、直接ご主人を説得するのは難しいと思われます。また、そのような状況であれば相談者様の身の安全が危ぶまれるので、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)に基づき配偶者暴力相談支援センターに指定された機関(お住いの県の女性相談センター等)や警察署(生活安全課等)に相談されることをお勧めします。これらの機関はDV被害者保護と支援のために連携していて、相談記録が残るため、離婚手続きの中でDVの事実の証拠となります。
離婚については本件の場合、離婚の話をすると余計に暴力を振るわれる状況なので、離婚に向けた直接の話し合い(民法第763条の協議離婚における協議)も困難であると思われます。
そこで、相談者様が家庭裁判所に家事調停(家事事件手続法第255条1項)を申し立てて家庭裁判所で調停委員を介して離婚に向けた交渉をする離婚調停を行うことが考えられます。この場合でも同居していれば暴力を受ける可能性があるので、別居するなど距離を置く必要があると思われます。調停を申し立てる際に申立書の「実情」(申立て動機)を記載する欄があるので、2年ほど前から継続してご主人に身体的暴力を受けている旨を記載して下さい。裁判所に対して支払う調停費用は訴訟に比べると低額で、調停証書の郵送費用等に要する2,000円程度で済みます。また、調停委員を介した当事者それぞれの主張は別々の時間帯に行い、待合室も別々になっているため調停期日に顔を合わせる必要はありません。しかし、原則的には調停期日と調停室が同じであるため裁判所内で顔を合わせる可能性はあります。仮に一瞬顔を合わせただけでも危害を加えられるおそれがあるような場合は、調停申立ての際にその旨申し出ることにより、調停期日や調停室も別々にしてもらうことができます。調停では相談者様の主張としてご主人のDVが継続していることを証拠とともに述べて下さい。調停では訴訟によるDVの事実の立証に必要な証拠ほど厳密なものは求められていません。しかしご主人の方がDV行為を否定したり、妻の言動や行動に問題がある等の主張をする可能性が高いので、裁判になることも想定してできるだけ客観性が高いものを複数揃えて下さい(裁判で立証に必要な証拠については後述します)。他方、調停による協議事項の決定は裁判官によるものではなくあくまでも当事者の合意に基づいて行われるものなので、ご主人が反省を示すとともに暴力行為はしないと約束する等、態度の変化が明らかにみられる場合は離婚しないという選択もできます(離婚調停も、必ずしも離婚することを前提としていないため裁判所自体は「夫婦関係調整調停」という呼び方をしています。)離婚しないという結論に双方が合意した場合も調停は成立します。
相談者様が離婚を希望される一方でご主人が離婚を拒否し続けた場合や離婚には承諾が得られても財産分与などの協議事項の一部または全部について合意が得られない場合、調停は不成立となります。その場合、調停を行った家庭裁判所に調停不成立証明書を発行してもらい、双方の戸籍の全部事項証明書を取得した上で訴状と裁判所に支払う訴訟費用(離婚以外の請求の有無や数により異なります)を準備して同一の家庭裁判所に対して離婚の訴え(民法第770条1項)を提起することになります。離婚の訴えを提起するためには、民法第770条1項が列挙する法定離婚事由のいずれかに該当する事由を主張した上で、その離婚事由の存在を原告が立証する必要があります。本件では、ご主人による身体的DVが継続し状況が悪化していることにより婚姻関係が破綻したとして「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法第770条1項5号)の存在を主張することができます。これを立証するための証拠として①暴力による負傷部位の画像(被害者本人のものと判別できるよう顔を撮影範囲に収めて下さい)②負傷部位の治療のために受信した医療機関の医師による診断書③暴力を受けている場面の音声や動画④DV行為が行われた日時・場所・状況を記録した日記⑤心療内科等の医師の診断書⑥配偶者暴力相談支援センター・警察署の相談記録などが挙げられます。⑥が必須であるほか、③は客観性が高く特に有力な証拠となります。裁判になった場合も、最初の期日で双方の主張を述べた後、訴訟上の和解手続き(人事訴訟法第37条)を行うよう勧められます。双方が和解手続きに応じて1・2回和解交渉を行った上で和解で解決できる見通しが立つ場合はそのまま和解により解決することになります。一方または双方が和解手続きに移ることを拒否したり、1・2回の和解交渉によっても解決の見通しが立たない場合は判決手続きに戻ります。判決は離婚請求を認めるか棄却するかのいずれかの結論となりますが、敗訴した側が判決に不服がある場合は判決文が送達されてから2週間以内に高等裁判所に控訴することができます。配偶者暴力相談支援センター(DV相談センター)ではDVの相談・カウンセリング、緊急時の一時保護、保護命令(裁判所が加害者に対して被害者への接近を禁じる等の行動規制を定める命令)、生活再建のための就労支援など様々な支援を行っています。まずDV相談センターに相談して相談者者様の身体の安全を確保した上で、最終的に離婚を求めるか否か、協議事項の定めなどを行うことができるよう弁護士にご相談頂ければと思います。
ウカイ&パートナーズ法律事務所は、東京の渋谷駅にある法律事務所です。離婚相談をご希望の場合には、30分無料相談もございます。離婚に詳しい弁護士が対応致しますので、当事務所宛にご連絡下さればと思います。

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