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ご相談事例
DV加害者だと訴えられて、面接交渉を拒否されています。

2022/09/08更新

男性・ 30歳代

・子供有り

・結婚歴6~10年
結婚7年目の夫婦です。私38歳、妻33歳です。1ヶ月前、妻が突然家を出ていきました。4歳の子供も連れて行かれました。出て行って、一週間後、公衆電話から連絡がありました。自分はDV被害者だ。居場所を教えることはできない。離婚して欲しい。子供に会わせるつもりもない。養育費や、慰謝料については、後に弁護士を通して要求する。などと、一方的に告げられました。以来、メールで子供に会いたいと面接交渉しても、拒否されています。

私は、DVについて、ほとんど身に覚えはありません。数年前、一度だけ、妻を平手で叩いたことがありますが、それは妻が、何日も、子供を勝手に知り合いに預けて、夜中まで遊び回っていたからです。あとは、仕事がうまくいかないときは、少し機嫌が悪くて枕を投げたりすることが、たまにあるくらいです。それでも、DVになってしまうのでしょうか。

これから、ずっと、子供に会うことはできないのでしょうか。拒否されない面接交渉の方法がありましたら、おしえてください。離婚もしたくありません。弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
①相談者様が奥様に対して一度平手で叩いたことがDVに当たるかという点について:配偶者からのDVの被害者保護・支援及び裁判所による加害者に対する行動規制の制度を定めた「暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)第1条が定める「配偶者からの暴力」は、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害を及ぼすものをいう)、または、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義されています。これに照らすと、一度平手で叩いた程度であってもたとえばそれが点火中のガスコンロのそばや、階段の途中あるいは、下り階段のそばなど危険な場所で行われたような場合にはDVと扱われる可能性がないとは言えません。

②お子様との面会交流(民法第766条1項)については、奥様との話し合いで認めてもらえない場合には、離婚調停の場で面会交流及びその頻度、方法、場所などについて求めていくことが考えられます。なお、奥様が離婚調停を申し立てていない段階で、相談者様のほうで面会交流調停[子の監護に関する処分(面会交流)調停事件]として申立てをすることも可能です。お子様が4歳であるため面会交流についてのお子様の意思は重要視されないのですが、面会交流は子供の監護(同居して行う身の回りの世話・躾・教育など)に関する他の事項と同様、子供の利益(福祉)を最優先して考慮しなければなりません(民法第766条1項)。子供の福祉に反しないか否かを判断するために試行的に相談者様との面会交流が行われる場合もあります。離婚調停で仮に相談者様が離婚を承諾された場合で、面会交流についての合意のみ成立しなかった場合や、面会交流調停で合意に達しない場合は、離婚または面会交流について審判手続(家事事件手続法第284条1項)に移行します。離婚調停の場合は裁判官が「離婚させることが適切である」と判断した場合に限られますが、面会交流調停の場合は自動的に移行します。いずれの場合も、審判手続では裁判官が面会交流を認めるか否か及びその頻度、場所、方法等を定めます。相談者様との面会交流がお子様の福祉を害すると判断されると、面接交渉の拒否が正当であるものとして面会交流が認められない可能性もあります。

本件の場合、相談者様は奥様を一度平手で叩いた程度にすぎず、お子様の面前で暴力をふるったり、暴力が続いてお子様が怯えていた、お子様が相談者様と会うことを強く拒絶していたなどの事情はないといえることから、お子様の福祉を害するものとは言えないと考えられるので面会交流については認められるのではないかと思われます。

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