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ご相談事例
離婚したいが夫に付きまとわれている。DV保護命令について知りたい

2023/01/10更新

女性・ 30歳代

・子供有り

・結婚歴1~5年
離婚を考えている30歳女性です。幼稚園の子供が一人(女児)います。
夫はもともとサラリーマンでシステムエンジニアをしていましたが、仕事のストレスで出社拒否となり、現在は休業中です。給料は休業期間は半額程度でるシステムの会社なので(期間の限定はあり)生活はぎりぎりできていました。
夫には働こうという意思はあるものの、いざ駅について電車に乗ろうとすると急激な腹痛に見舞われるそうで、休業期間は半年になります。仕事に行けないストレスからか、DVが始まりました。あざになるほどではないのですが、ちょっとしたことで蹴られたりします。
ずっと家にいる夫から監視され、私もストレスで鬱になりそうで離婚を考えています。
夫が車で出かけた隙に、冷却期間を置くため実家に子供と帰ったら、激高した夫が実家の前で暴言を吐き連れ戻しにきました。その時にもDVを受け、実家の親からも離婚を勧められました。
それから毎日のように実家の前で待ち伏せされ、精神的におかしくなりそうです。こういった行為をやめさせるため保護命令というものがあるそうなのですが、仕組みがよくわかりません。
子供に執着しているので、幼稚園に行く際などに隙をみて連れ帰られないか不安です。保護命令はこういった連れ去りにも有効なのでしょうか。
弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)第10条に基づく裁判所の保護命令の中で本件で申立て可能なものとして、①相談者様本人に対する接近禁止命令(同法第10条1項1号) ②子への接近禁止命令(同法第10条3項)及び③親族等への接近禁止命令(同法第10条4項)があります。②と③は①に付随する制度であるため、①が同時に発令される場合または既に発令されている場合のみ②③の申立て・発令が可能です。①は発令から6か月間、申立人(被害者)の身辺につきまとったり、申立人住居(加害者と同居する住居は除く)や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。被害者が保護施設に避難するなどして実家以外の住居に別居している場合に有効な命令で、これに違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられます(同法第29条)。②は子を幼稚園などから連れ去られるなど、子に関して申立人が相手方に面会せざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに6か月間、申立人と同居している子の身辺につきまとったり住居や保育施設、学校等その子が通常いる場所の付近を徘徊することを禁止する命令です。子への接近禁止命令によりお子様の連れ去りを防止することができるかと思われます。
また③は相手方(加害者)が申立人の実家など、密接な関係にある親族等の住居におしかけて暴れるなど、その親族等に関して申立人が相手方に面会せざるをえなくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに6か月間その親族等の身辺につきまとったり、住居(相手方がその親族等と同居する住居は除く)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。本件のようにご主人が相談者様の実家に来て暴言を吐く、暴力をふるうなどの行為を行った場合に、発令されればその後6か月間そのような行為を行うことを罰則をもって禁止できることになります。
保護命令の申立書には,同法に基づき配偶者暴力相談支援センターに指定された機関(県の女性相談センターなど)又は警察署(生活安全課等)等に相談機関へ赴いて相手方からの暴力を受けたことなどについて相談した事実を記載する必要があります。事前に相談をしていないときは、公証人役場において相手方から暴力を受けたことなどについての申立人の供述を記載し、その供述が真実であることを公証人の面前で宣誓して作成した宣誓供述書を保護命令の申立書に添付する必要があります。
保護命令を申し立てる裁判所は(a)ご主人の住所のある自治体 (b)相談者様の住民票がある自治体、(c)現在居住する自治体または(d)ご主人から暴力行為を受けた場所(相談者様の実家)のある自治体を管轄する地方裁判所のいずれかを選ぶことができます(同法第11条)。
相談者様とお子様そして相談者様の実家のご家族の安全を確保するため、都道府県内の配偶者暴力相談支援センターにご相談の上、センターの指示・助言を受けながら保護命令の申立てを行って下さい。保護命令申立ての際に提出するDVの証拠書類やデータは、離婚手続の際に証拠として提出することができます。離婚にあたっては現段階で一度弁護士に相談することをお勧めします。

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