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ご相談事例
DVが原因の離婚協議で保護命令が出て仮処分中です

2023/02/17更新

男性・ 30歳代

・子供有り

・結婚歴6~10年
30代のサラリーマンですが、現在妻と離婚協議中です。原因は私のDVです。
つまらないことでいらいらし、仕事のストレスもあってか、ついつい手が出るようになり、最終的には妻の顔や体にあざができるほどのDVへと至りました。
妻は子供を連れて家を出、離婚を申し出てきました。
私は反省しており離婚を回避したかったため、裁判となり現在は保護命令とその仮処分が出ています。
妻は私の暴力の証拠を写真や診断書で残しており、私に不利な状況は変わりません。
ただ、子供にも会えないようしようとしていることに納得がいかないのです。
妻には確かに暴力を振るい(現在ではとても反省しています)ましたが、子供には一切手は出しておらず、現在でもとてもかわいく思っています。
妻はあることないことを述べ、保護命令や仮処分を言い訳に、子供への面会すら阻止します。
こういったことは、改めて争うべきなのでしょうか。
離婚は避けられないしても、子供と会う権利は、子供さえ嫌でないのなら父親である私にもあると思います。
弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
離婚の協議事項である子に対する面会交流(民法第766条1項)については、協議の段階ではあくまでも当事者双方が合意した内容(面会交流を認めるか否か、その頻度、交流の方法、面会する場合の面会場所等)通りに定めることができます。従って、仮に奥様が面会交流を認めないと主張したことに相談者様が同意した場合はその旨の協議が成立したことになります。相談者様がお子様との面会交流はどうしても認めてほしいという場合、ほかの協議事項(親権者の定め、養育費、財産分与、慰謝料等)については合意できている場合は相談者様が家庭裁判所に面会交流調停を申し立てます。ほかの協議事項についても一部またはすべてが合意に達しない場合は奥様が離婚(夫婦関係調整調停)調停を申し立てることになります(家事事件手続法第255条1項)。いずれの場合も、調停においては調停委員が中立的な立場からお子様の福祉を第一に考えて助言を行うものの、基本的には当事者の主張をすり合わせる形で調停案が作成されます。
面会交流調停が不成立になった場合は自動的に審判手続(家事事件手続法第284条1項)に移行します。また、離婚調停の場合も合意に達しない事項が面会交流だけである場合や、面会交流を含めて複数ある場合でも裁判官が審判手続によることが適切と判断した場合は審判手続に移行します。
審判手続では裁判官が面会交流権について定めることになりますが、審判にあたっては民法第766条1項の「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」という規定を踏まえて、面会交流を認めることが子供の福祉に合致するか否かという観点から判断することになります。「子供の福祉に合致するか」を判断する際には子供の状況(年齢・心理状態・面会交流に対する意向等)、監護親と非監護親のそれぞれの生活状況や面会交流に対する意向、面会交流を実施する際の監護親と非監護親との協力の可能性などを総合的に判断して、基本的には面会交流を行うことは子供の健全な成長に資するという考えから、面会交流を認める方向で審判を行います。ただし、以下のような場合は子供の福祉を害すると判断されるので面会交流が制限されることになります:(ア)子供が、面会した別居親から暴力などの虐待を受ける危険性が高い場合 (イ)子供が別居親に連れ去られる危険性が高い場合 (ウ)子供が精神的負担から健康状態を損なう危険性が高い場合 (エ) 別居親が同居親を不当に非難するなどして子供と同居親の離反を図り、またはその間の精神的安定を阻害する危険性が高い場合 また、子供の意向については、面会交流だけでなく親権の定めについてなど、子供の監護に関する処分の審判をする場合に、15歳以上の子供の陳述を必ず聞かなければならないと定められています(家事事件手続法第152条2項。)また、実務上、おおむね10歳に達している子供に対しては意見を聞き、その意見に沿った判断をしています。
本件では、お子様の年齢が10歳に達していない場合はその意見よりも客観的に見た子供の福祉が優先されることになりますが、仮に保護命令が「子への接近禁止命令」(DV防止法第10条3項)を含まない場合で、相談者様とお子様の関係が概して良好であったといえる場合は審判手続の段階で面会交流が認められる可能性があると考えられます。「子への接近禁止命令」を含む場合は認められる可能性が低いといわざるを得ません。裁判所は面会交流に対してはできるだけ認める方向で判断するため、調停の段階で相談者様がお子様との関係が良好であったことや、お子様を連れ去ったりお子様と面会した時に奥様の悪口を言わないことを約束する等の主張をされることをお勧めします。なお、審判に対しては当事者のどちらかが審判証書到達後2週間以内に異議を申し立てると無効になってしまいます(家事審判手続法第286条5項)。この場合は、奥様が離婚を求める訴え(民法第770条1項)を提起して裁判で離婚請求することになります。面会交流についての裁判官の判断基準は審判の場合と同様です。離婚調停または面会交流調停、審判ないし訴訟に進んだ場合に、面会交流を始め、不当に不利な条件にならないよう最善の方策をとるため弁護士にご相談頂ければと思います。

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弁護士 上野 一成
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