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ご相談事例
DVで保護命令が出されたが取り消し行為は可能か

2023/03/08更新

女性・ 20歳代以下

・子供無し

・結婚歴1~5年
こんにちは。私は現在夫のDVに身も心もボロボロの20代専業主婦です。

先日、私の夫にDVによる保護命令がだされました。

交際から3ヶ月という短い期間でのスピード結婚を行い、それから親元を離れ、2人きりでの結婚生活をしてきました。ですが、結婚半年をすぎたあたりから元々優しかった夫の態度が急変し、過度な束縛を行うようになり、私が夫の思うように行動をしないと、手を挙げるようにりました。最初の頃は感情が高ぶってしまい、本当にひどいことをしてしまった、と紳士に謝ってくるので、私も許したのですが、気づいたら暴力が日常化してしまい、ついに、法的な処置を行っていただきました。

ひとまずはこれで安心だと思ったのですが、不安な点がでてきました。それは、この保護命令の取り消しが可能かどうかです。

申立て人である私が取り消したいと希望すれば、すぐに取り消せるのか、反対に私以外の第三者が取り消すことができるのかということです。また、取り消したあとの私の夫との関係はどうなるのでしょうか。

弁護士の法律相談希望です。
▼ 回答します
弁護士 上野 一成
結論から申し上げますと、①相談者様自身が取消しの申立てを行った場合及び②ご主人が取消しを申し立てた場合に相談者様が保護命令を取り消すことに対して異議がないことを裁判所が確認した場合のいずれかに該当しない限り、保護命令の取消しは認められないことになります。配偶者からの暴力及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)第10条に基づく保護命令を発した裁判所は、保護命令の申立てをした者から取消しの申立てがあった場合には、保護命令を取り消さなければならないことになっています(DV防止法第17条1項)。また、保護命令を受けた者が被害者本人への接近禁止命令(DV防止法第10条1項1号)、あるいは同法第10条2項に列挙された面会要求・監視行動・電話・メールFAX送信等事項の一律禁止命令の効力が生じた日から3ヶ月を経過した後に保護命令の取消しを申し立てた場合において、裁判所が保護命令の申立人に対して保護命令取消しに異議がないことを確認した時にも保護命令を取り消さなければならないとされています(同法第17条1項)。なお、申立て時点で申立人と加害者側配偶者が同居していた場合に加害者側配偶者に対して2か月間の退去命令が出されていた場合は、命令が効力を生じた日から2週間以内に保護命令を受けた者が保護命令の取消しを申し立てた場合において、裁判所が申立人に対して保護命令取消しに異議がないことを確認した時に保護命令を取り消さなければならないと定められています(同法第17条1項)。
従って、相談者様が保護命令の取消しを申し立てれば保護命令は取り消されることになります。保護命令の効力が生じた後3か月経過後(退去命令の場合は2週間経過後)にご主人が取消しの申立てをしたとしても、相談者様が異議を申し立てれば取り消されることはないことになります。このように、保護命令の取り消しが行われるのは必ず相談者様が取消しを認めている場合であるため、相談者様の意思に反して取り消されることはありません。保護命令取り消しが発効した後は、法律上はご主人に対して保護命令により禁止されていたことが禁止されない状態となります。また、保護命令取り消しの事実については裁判所から配偶者暴力相談支援センターに通知されます(同法第17条2項、第16条7項)。もっとも、取消し及びその旨の通知によってDV相談支援センターが相談者様への支援を打ち切るわけではなく、必要になった場合の一時保護や保護施設紹介、自立支援その他の支援は継続されます。なお、保護命令発令から6か月以内の間も、たとえば街中で偶然ご主人に遭遇した場合は保護命令違反(同法第29条)にはあたらないことにご注意下さい。また、保護命令の発効から6か月経過後に再び暴力行為を受ける可能性が高い場合は保護命令の再度の申立てが可能で(同法第18条1項)、その後も申立て自体は何度でも行うことができます。再度の申立てを行う場合は最初の申立ての時と同様に配偶者暴力相談支援センターへの相談、証拠書類・添付書類の提出などを行う必要があります。申立てから発令までは初回と同様に迅速に審理が行われますが、申し立ての準備と合わせると2週間以上の期間が必要となることが見込まれるので、再度の申立てをせざるを得ない状況を感じた場合は、初回の申立ての期間終了から再度の保護命令の発効日まで日が空かないようにご注意下さい。保護命令取消しについてはご安心頂ければと思いますが、万一危険を感じる事態になった場合や離婚手続きをお考えの場合などに弁護士にご相談頂ければと思います。

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弁護士 上野 一成
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